「買う」と決める瞬間 を読んだ

リアル店舗におけるユーザー行動やインサイト、ベストプラクティスなどを紹介してる本です。

WEBサイトにも通ずるものがあるのかな、と思い読んでみたのですが、大ヒットでした。
リアルでもWEBでもユーザー行動が共通しているところもあり、書かれているな内容をECサイトなどに置きかえてもしっくり来るところが多かったと思います。

以下特に重要だと思ったところ。

買う物を決めるまでの時間が短い程、売上額は高くなる

1本の牛乳を買うために来店した人に、途中で他の商品も買わせようと店を歩き回らせても、さほど意味がないと。

これはECサイトなどでも言えることで、まずはユーザーが買いたいと思う商品をすぐに見つけられることが一番大切で、それ以降に他の商品も見てもらうようなサイト設計が良いのだと思います。

同様に、ユーザーの動きに逆らうのではなく、ユーザーが取りたい思っている行動に沿ったデザインをすることで、売上を増やせる可能性が高まる、とも書かれています。

3つの決定的瞬間

店舗での販売のプロセスは
リーチ(目にとまる)」「ストップ(立ち止まる)」「クローズ(購入を決定する)
の3つ。
売上にしか注意を払うのではなく、このプロセス全体を理解する必要がある。

3つの通貨

顧客は店頭で「お金」を使うだけの存在ではない。
時間」もかければ、「悩み」も抱く。

なるべく早く商品をカゴに入れてもらうようにする。
より多くを買ってもらうことを期待して、店内に長く引き止めるのはNG

購入の決定要因は価格ではない

価格戦略も重要だが、それと同じくらいに商品を探しやすく、商品を選ぶ悩みを解消する無駄のない店舗作りになっていることも大切。

値引きの効果

値引き品を購入した人の51%は、それが値引きされていたことに気付いていない。
つまり、その人たちにとって、値引きは購入決定にまったく影響を与えていなかった。

値引き商品に気付いていた49%のうち40%は定価であっても購入していたであろうと答えた。
37%は別ブランドからの乗り換え。
通常購入するよりも余分に購入したのは23%程度。

階層的マーチャンダイジング

店舗に来る顧客は「急ぎの買い物」「買い足し」「まとめ買い」に分けられる。
そのそれぞれの行動パターンに対して、魅力的なで分かりやすい動線を作ることが大切。

選択肢(同系統の商品)が豊富にあってもダメ

選択肢を沢山与えると、困って判断がつかなくなり、何も決められなくなってしまう。
あるいは何か決めたとしても、選択肢は豊富にあったのだからより良いものがあったのでないかと、満足できずに悩んでしまう。

実際にアメリカでジャムの実演デモに関するこんな実験結果がある。
ひとつのテーブルには試食用を6種類
もうひとつのテーブルには試食用を24種類
用意した。
どちらも購入できるのは24種類。

24種類試食できるテーブルの方が人だかりができたが、実際に試食するジャムの数は大体同じ結果だった。
ところが、商品を購入するのは
6種類のテーブルでは試食した人の30%に対して、
24種類のテーブルは試食した人のわずか3%だった。

やはり選択肢をたくさん与えると決めるのに苦労するため、決めないことを決めしてまうと。

顧客行動のコントロール

店内で顧客の行動をコントロールすることは難しい。
たとえクーポンなどを使ったとしても、店側が来てほしいと思っている売り場に足を運ぶ顧客の数を大幅に増やすことは非常に困難。
顧客を売り場まで動かそうとするのではなく、商品を顧客のところに持っていく。

正当化行動

明らかに自分のためになると言える商品を買った後ならば、はっきり自分のためになるとは言えない商品を購入しても良い、という許可を自分に与える。
生鮮コーナーでブロッコリーや豆腐を買った後ならば、アイスクリームやケーキ、タバコを買うことができる、というようなもの。

まとめ

冒頭でも書きましたが、リアル店舗に関する本でしたが、ウェブサイトに置き換えても参考になる箇所が沢山ありました。
そして、本書で何度も触れられていたことが、ユーザーを正しく理解することです。
これもウェブサイトでも同じですね。
自分たちの顧客がサイト上でどのように動いているか、どこで迷っているか、どうして購入しなかったのか、などを知ることでサイトの改善につなげることができます。

ECサイトなど、WEB上で購買や申し込みができるサイトを運営している方が読むと、きっと参考になることがあると思います。


「買う」と決める瞬間

「買う」と決める瞬間